4.1点
冒頭で見せられるのはとある仲良し夫婦がイチャつく平和な日常、そしてその夫であり警官のマックスがある晩何者かに殺されてしまうシーン。
マックスの葬儀が執り行われる中、それを遠くから見つめる男セガール。今回はマックスの父親として犯人への報復にいどむ!
とにかく物語がわかりやすい。セガールのやることは息子を殺した犯人を見つけて殺すこと、それだけ。
セガールアクション
じゅうぶん満足できる及第点といえるだろう。
今作は敵が血気盛んなギャングというだけあってあちこちでいざこざが起こりその度に格闘シーンが出てくる。
セガールアクションはカンフー映画のように何度も殴りあい防ぎあうものでなくとも、相手の攻撃を受け流し圧倒的容赦のなさで一瞬でやっつけてしまう強さも魅力のひとつだと思っている。
ギャングがはびこる街を荒らしまわり、どこへ行っても一方的にやっつける。しまいにはギャングから白人のバケモノ扱いされるセガール。(笑)
多少ワンパターンな部分もあるが「いやー、セガールつえーな!」という感覚を味わいたい人は期待はずれになることはないはずだ。
いっぽうその他のアクションシーンだが、途中のカーチェイスシーンはなぜかBGM無音の中まったく当たらない銃を撃ちまくり下手くそな運転にキャッキャするギャングを見るというシュールな時間がそこそこ続き、少しだれてしまう。
銃撃戦のシーンでも打たれて倒れる姿をスローで流す演出が何度もあり、くどく感じるかもしれない。
だがそんなのは些細なことである。
全体を通した「セガールアクション」の満足度はじゅうぶんであろう。
セガール以外の登場キャラ
今作では黒人ギャングたちに囲まれているセガール。
このギャングたち、やんちゃすぎてとんでもなく感情豊か、魅力的なキャラが並ぶ。
ゲイリー、アイザヤ、耳を撃たれたヤツ、どいつもこいつもどこか憎めない。セガールを前に悪態をついたあげく倒され、てんやわんやする姿は見ててほっこりするくらいだ。
ハイド団リーダーのチヴォも登場時間は少ないものの何とも言えない存在感をかもし出し、しまいにはDVDのチャプター選択画面をドヤ顔で飾っているのだからたまらない。(チヴォは黒人ではないが)
そして一番ぶっ飛んでいるのはアーマンド。彼に関してはそもそものキャラクターが個性的な上に吹替声優の高木渉がその実力をじゅうぶんに発揮してくれていて、「もう日本人なら吹替で見ないとか愚かすぎない?」というくらい生き生きとしている。(後述します)
ちなみに今作ではヒロイン的な女性は不在。賃貸の管理人さんがそれっぽく出てくるが恋愛要素は無く、なぜ彼女がセガールにあそこまで首を突っ込んだあげくギャングとの銃撃戦にまで参加しているのかは少し謎。
あとは女のイヤラシイ下着姿くらいなら見られるが、あれはアーマンドの女なので手を出すのはやめておこう。
吹替の魅力
吹替のセリフ回しがかなり独特で、今作の評価を上げている大きな要因のひとつになっている。特にアーマンドの言葉使いは素晴らしくギャングであり、それを熱演する高木渉も素晴らしく、彼の声が聞きたくて俺も何度も見てしまうのだ。
そんなセリフ回しについて、字幕→吹替の順でいくつか引用させていただく。
「ゲイリー まだか」→「まだかよゲイリー 寒いだろ」(マックス、ゲイリーとの待ち合わせ場所にて)
「おやおや そいつは怖い」→「おぉ〜怖いねぇ すげぇびびってきた(喜)」(セガール、チンピラに絡まれて)
「出かける」→「んじゃ行くわ」(アイザヤ、弟のゲイリーに向かって)
「どうかな 俺のビジネスを言いふらした」→「お前なんだろ ったくいい加減にしろよ 商売のこと言いふらしやがってよぉ」(アーマンド、白人の仲間に向かって)
「悪いね ヤツの臭いが嫌いでさ」→「ああマジで悪い こいつ臭くてたまんねぇんだよ」(アーマンド、白人の仲間をついつい殺してしまって一言)
「点心好きか?」→「なぁ腹減ったかクソ女!」(アーマンド、セガールを守る女管理人との銃撃戦にて)
どうだろう、吹替版の魅力が少しでも伝わるだろうか。熱演する声優の声を聞くとキャラクターが個性的で生き生きして、思わず感情移入してしまうはずだ。
ぜひ吹替版で一度ご覧いただければと思う。
ちなみに最後に書いた「点心好きか?」については、ゆいいつ字幕のほうが好きだと感じる部分だったりする。あやしいカンフー使いのセガールを皮肉った良いワード選びだと思うんだがな、点心。
まとめ
報復のためギャング相手に容赦なく戦うセガールが実はいちばんギャングだった、というオチで物語は終わる。
アーマンドの最後のセリフ、そこからのエンディング突入はぜひその目で見てほしい。
「すげえクールな親父だな・・・筋金入りのギャングだぜ」
沈黙の報復、沈黙シリーズのなかでもオススメである。
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