こんなにも胸をキュっと締めつけられて切ない気持ちになる曲が他にあるだろうか?
そう思うほどに、FINLANDSの「UTOPIA」が切なすぎて、もはや吐き気すら感じてしまった。
FINLANDS「UTOPIA」
FINLANDSのEP「UTOPIA」に収録されている楽曲で、作詞作曲はギターボーカルの塩入冬湖。
2019/02/14にYouTubeで公開。コメント欄には「広告からきた」という人が多く、一度聴いただけで心をつかむ切ないメロディ、ボーカルの声、詩的な言葉が魅力だ。
特にボーカル塩入冬湖のしぼりだすように歌う声は切ない曲にマッチし、「この曲はきっとこの人にしか歌えないな」と思わせてくれる。
人によっては耳ざわりとも感じてしまうかもしれないが、引きつけられる人も多いはず。
とにかく唯一無二の歌声であることは間違いない。
歌詞考察
FINLANDSの「UTOPIA」は独特で美しい言葉が並ぶ歌詞も魅力的である。
男女の恋愛のことを言っているのだろう、とそこまでは誰が見てもわかると思うが、少し難しい印象も受ける。
楽曲の世界観をより深く理解するために考察していこう。
この曲の登場人物は2人。「わたし」(女性)と、「わたし」が一緒にいる男性、ここでは「あなた」とさせていただく。
「難しいくちづけ」からふたりの関係を探る
サビに出てくる「難しいくちづけ」というワードがある。
難しいくちづけをしたなら
戻れないわ 簡単でいいの
温くて狭いユートピア 幸せだったわよね
難しいくちづけ、とは一体なんだろう?
このワードをこのまま考えるのは難しいので、では逆に簡単なくちづけってなんだ?と考えてみる。
簡単なくちづけ・・・つまり何の抵抗もなく、して当たり前くらいにするくちづけのこと。とすると「簡単なくちづけ=恋人関係のふたりがするくちづけ」だと判断できるだろう。
だとすると、難しいくちづけをするこのふたりは恋人関係ではないと考えられる。
「わたし」が抱く「あなた」への想いの強さが切ない
恋人関係ではないふたり。だが、「わたし」からは「あなた」への強い想いを感じることができる。
陰極線管から漏れる灯りすらも 疎ましい
ここからは「夢中にさせてほしい、ふたりきりの世界にさせてほしい」という想いが伝わるし、
生活を忘れずに 夢中に成らないで 共謀しよう
ここからは「夢中になれなくてもいいから、ふたりだけの秘密をつくろう」という想いが感じられる。
しかもこの「生活を忘れずに」というワードからはおそらくお互いに守るべき社会的地位があることが考えられる。(たとえば家庭であったり、学校の先生と生徒、なんてパターンもあるだろう)
つまり、初めからこのふたりは結ばれることのない関係なのだろう。それでも、
下手な過去にしてしまうなら
使い切りの楽園でいいわ
これで終わってしまってもいい、なくなってしまってもいい。
思い出にすら残らなくていいから、せめて今このときだけは幸せを感じていたい・・・。
「わたし」の想いの深さには、なんて切ない気持ちにさせられるのだろうか。
余所行きの声を出したり 粧し込んで朝を迎えて
ここなんて、めっちゃ乙女じゃないか。なんなんだよ。
胸が苦しい。
そもそもユートピアの意味
曲名になっていて歌詞にも出てくるユートピアという言葉は、そもそも「現実には決して存在しない、どこにもない場所」という意味を持っている。
ユートピアとは (ユートピアとは) [単語記事] – ニコニコ大百科
何もかもが良い場所など、結局は実在しないのだ・・・という諦観(悟りのようなもの)が含まれているとするならば、この曲が切ない曲になるのは当たり前なのだ。(むしろそうじゃないと困るくらい)
しかもそのユートピアという言葉をよりによって男女の関係に当てはめるなんて、ある意味で卑怯である。
「わたし」と「あなた」の情景を思い浮かべれば思い浮かべるほど、やはり胸が締めつけられる。
ああ、切ない曲だな、ほんとうに。
まとめ
- 一度聴いただけで心をつかまれるメロディとボーカルと歌詞
- ボーカル塩入冬湖は唯一無二
- 歌詞がせつなすぎて吐き気
FINLANDSの「UTOPIA」には本当に胸を締めつけられた。この曲に出会えて良かった。
ここまで読んだのにまだ聴いてない、なんて人はいないと思うが、一度聴いてみてはどうだろうか。オススメである。
あなたは何を感じただろう?あなたの感想や考察、聞かせてください。
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以上、小山田(@rije22)でした。
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